「ワタリガラス」
翌朝。少女は元気にやってきました。パンを持っています。
パンを貰う前に、ワタリガラスが言いました。
「ねぇ。」
「なぁに?」
「この羽を持っていきなさい。」
「え・・・?」
「この羽は、他人の幸せを吸い上げて作られている、いわば幸せの象徴だから。」
「・・・。」
「他人の幸せを食いつぶすような事をしたくない、って気持ちなら分かるわ。あなたの考えそうな事だもの。でもね、これはあたしからのプレゼントだから。」
「・・・でも・・・。」
「嫌?」
「はね。なくなってもいいの?」
ワタリガラスは、思わず泣いてしまいました。
自分のことを、本当に思いやってくれている。それが、とても嬉しかったのです。
「大丈夫。痛くはないから。」
「そっか・・・。ありがとう・・・。」
「えぇ・・・。」
「・・・。」
「大丈夫。それを持っていれば、きっとあなたは幸せになれる。」
「お母さんに上げてもいいかなぁ・・・。」
「えぇ。大丈夫。あたしは、たくさんの幸せを吸ってきたから。だから、二人分の幸せならなんとかなるわ。」
「・・・。」
「どうしたの?」
「・・・キミは何の為に生まれてきたの?」
「・・・人々に不幸をもたらすために。」
「・・・本当に?」
「・・・。」
「多分、違う。」
「え・・・?」
「だって、わたしはキミに出会えて幸せだから。」