「ワタリガラス」


翌朝。少女は元気にやってきました。パンを持っています。

パンを貰う前に、ワタリガラスが言いました。


「ねぇ。」

「なぁに?」

「この羽を持っていきなさい。」

「え・・・?」

「この羽は、他人の幸せを吸い上げて作られている、いわば幸せの象徴だから。」

「・・・。」

「他人の幸せを食いつぶすような事をしたくない、って気持ちなら分かるわ。あなたの考えそうな事だもの。でもね、これはあたしからのプレゼントだから。」

「・・・でも・・・。」

「嫌?」

「はね。なくなってもいいの?」


ワタリガラスは、思わず泣いてしまいました。

自分のことを、本当に思いやってくれている。それが、とても嬉しかったのです。


「大丈夫。痛くはないから。」

「そっか・・・。ありがとう・・・。」

「えぇ・・・。」

「・・・。」

「大丈夫。それを持っていれば、きっとあなたは幸せになれる。」

「お母さんに上げてもいいかなぁ・・・。」

「えぇ。大丈夫。あたしは、たくさんの幸せを吸ってきたから。だから、二人分の幸せならなんとかなるわ。」

「・・・。」


「どうしたの?」


「・・・キミは何の為に生まれてきたの?」

「・・・人々に不幸をもたらすために。」

「・・・本当に?」

「・・・。」


「多分、違う。」

「え・・・?」

「だって、わたしはキミに出会えて幸せだから。」


< 15 / 16 >

この作品をシェア

pagetop