駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

どうして望んでもいない展開を迎えているのだろうか、と溜め息を吐いた。

道場の真ん中で熊木と向き合っていた矢央は、審判をすると言った藤堂をチラッと見て、どうしようかと頭を捻る。


剣術と体術。 戦えないことはないが、試合などしたことがない。

なので審判をつけられても困るのだ。 と、また溜め息を溢す。


「間島さん、大丈夫ですか?」

「え? あ、ああはい。 大丈夫ですよ」


先程感じた違和感が何かも分かっていないままで、多少この試合に不安を感じずにはいられない。

危険なことはさせないために、藤堂が審判を務めるわけだが、その藤堂も矢央同様に不安を感じていた。


何故なのか、何に対してなのか胸騒ぎがしてならないのだ。



「……では、初め!!」


藤堂の掛け声が道場に響くが、どちらも身動き一つしない。

互いの戦闘方法を知らないのだから、互いに探りを入れているのだろう。

どちらが先に動きを見せるか、と原田が胡座をかいて座った刹那、先に足を踏み込んだのは熊木だった。


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