駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

眠っていた沖田を襲った矢央は、土方に怒鳴れ、永倉 原田に笑われようともその場を動かなかった。

仕方ないので、沖田だけは開き直る。



「私も、もう一眠りしましょうかね〜」

「ハアッハアッハアッ」

「土方さん、ほっとけほっとけ! そのうち飽きていなくなるさ」


肩で息をする土方に少し同情しながら、原田は一抜けたと去って行った。

何か思うとこが有り気に顔をしかめながらも、永倉も去る。


後に残った土方は、すっかり諦めムードである。

何故なら目の前には、スヤスヤと抱き合って眠る沖田と矢央がいるから。


これでは一人騒いだ自分が馬鹿みたいだと額に手を当てる。


暫くそのままだった土方も、眉間に皺を寄せ唸りながら立ち上がる。

顎を擦りながら廊下を歩き、ボソッと呟いた。



「なんか嫌な予感がしやがるぜ…」


矢央の様子が可笑しくなると決まって何かが起こる前触れのような気がしてならなかった。


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