駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
みるみるうちに顔が赤くなっていく藤堂。
さっきのは紛れもなく告白。 酔い任せとは言え、このような形で矢央に秘めていた想いを知られてしまう。
しかし、相手は超がつく程に鈍感だったはず。と、藤堂は慌てて隣を見たが、矢央を見て青ざめたり赤くなったりと大忙しだ。
掌で包まれた両頬は、ほんのり赤く染まっていて、そわそわと落ち着きなく目線を泳がせている矢央を二人は意外そうに観察する。
「や、矢央ちゃん…?」
「………ん?」
藤堂に呼ばれ、ビクッと肩を揺らせキョロキョロと目線をさ迷わせたが、一旦呼吸を整えると矢央は右隣の藤堂を見上げた。
ドキンッ!!
五月蝿い心臓の音が外に漏れていそうだ。
頬を赤らめる矢央を見て明らかと言える。
彼女は、藤堂の気持ちに完全に気付いたのだろうと。
「変わるもんだよな…」
「あ?」
初々しい反応を示す二人を眺めながら、原田はまた杯を傾け、隣に座る永倉にも酒を勧めた。
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