Voice
「…行くぞ。」
梓は、そう言うと、
私の右手を掴んだまま、歩きだした。
「えっ!?
ちょっと…、
なによ!」
梓は、私の事なんて、お構いなし。
どんどん、突き進む。
…どうやら、
どこかへ連れて行く気みたい。
…一言、
どこに行くとか、
言えばいいのに。
何にも言わないで。。。
…この男は、本当に自分勝手なんだから。
私は、引きずられるように、小走りした。
掴まれた手は、
強くて、
熱くて…。
私の力じゃ、
離すことが出来なかった。