Voice




「そうですか?

…すごく寒くて、


ただ、

風邪引きに

行く様なものじゃ…。」


ぽつりと、

そう言ったけれど、





高丘さんの、

「何か言ったかしら?」

の一言と、


凍りつくような笑顔で

何も言えなくなった。






こ、怖っ…。








「…美紀、大丈夫?

寒くて、

手が悴んだり、

声とか震えない?」






遠夜が、

隣で心配そうに言った。









「だ、大丈夫!

さっき、

温かい紅茶飲んだし。



遠夜こそ、

スカートで寒くない?」






そう。


私なんて、

まだいいよ。




こんな寒い中、

スカートの方が辛いよ。






遠夜は、

首を振って

優しく言った。








「大丈夫だよ!

慣れてるし。

美紀は、

これから、

ピアノも弾くし。



無理しないで、ね?」












ううっ…。




偉い!



謙虚だなぁ。







私も

頑張ってやらなきゃ。







「それじゃあ、

リハーサルお願いします。」







「「はい」」







返事をして、

”ナイト”に

スイッチを入れ替えた。





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