ふたりだけの特別な絆
「で、でも…それなら、私のことを全く知らないっていうのは変じゃないですか?」
そこまで事情を聞いているなら、何も聞いてないなんて、おかしいよ…。
「それが…、俺…宏明おじさんに娘がいることは、だいぶ前に聞いて、何となく記憶にあったけど、顔や名前は本当に全く知らなかったんだ…。」
「だけど、今回の話の時に娘の私がこの家に残ることを聞きましたよね?それなのに……」
そこまで言いかけたところで、男の人は力なく首を左右に振った。
「……聞いてないから。」
「え??」
「さっきも言ったけど、親父からは何も聞かされてねぇんだ、お前のこと。留守で誰もいなくなる…って言ってただけだし。」
「う、うそ……」
大きなため息をついた男の人を見ながら、私は眉間にシワを寄せてしまった。