ふたりだけの特別な絆
「何はともあれ、陽菜とも和解出来たことだし…一件落着だな。」
こ、これのどこが和解なんだか……。
清々しい表情で、ゆっくりと私から離れていく男の人に冷ややかな視線を注いだ。
「よし、俺も生活費免除の条件があることだし、しっかり役目を果たさねぇと。」
「えっ…、生活費免除?」
背伸びをしながらソファーへと戻っていく男の人に、ハテナマークをポカンと浮かべた。
「ああ。食費とか光熱費、その他…生活に必要な費用は宏明おじさんが負担してくれるらしいんだ。その代わりに、2ヶ月間…ここで暮らして欲しい…っていう風に言われてたんだよ。」
そっか…。
さっき、この人が言ってた“条件”って…このことだったのか…。
お、お父さんってば…そこまでして頼まなくても良かったんじゃ…。
一人の方が、かえって平穏無事に過ごせたような気がするよ…。
これから憂鬱だなぁ…。
はぁ……と特大のため息を零した私は、それと同時に緊張の糸がプツンと切れてしまい…
その場にフニャッと座りこんでしまった。