ひみつのはら

 もう分かったかなぁ。さっきと違って、これは本当に怖くて上げた「悲鳴」なのだ。

 みゆきちゃんも泣いてるよ。

 ここはトラの前。寝てたトラにみんながわっと近づいた瞬間……。

 後でさっちゃんに聞いたら、「ああトラの吼え声ね。500mくらい先のシロクマの所まで聞こえたよ」、だって。

 めーとるって何だ?

 まぁそれは置いて。あたしは叫ぶどころか動くこともできなかった。だって、目の前でキバむき出しにされたんだもん……!

「こっちゃん次行こう」

 えぐえぐと涙声で言うみゆきちゃん。でも、足が震えて動かないよ……。

「全く……怖いなら始めから近づくなよ」

 むっ、この嫌味たっぷりの声は!

「な、何?たっくんもいたんだ」

「声おかしくなってるよ」

 呆れたような目で見てくるたっくん。なんでこいつには効かないんだ!?トラの吼え声!!

「あれ~?たっくんだ~」

 みゆきちゃんがこっちに来る。知り合いがいて、恐怖が小さくなったみたい。

「みゆきちゃん、こいつ怖くて動けないみたいだから連れてってあげて」

 まーた嫌味を……と思ったけど、言い方が全然違った。

 なんか、あたし心配されてる……?

「へ、平気だよ!行こ?みゆきちゃん」

 気のせい気のせい!たっくんがそんな風に思うわけ無いじゃん!
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