ひみつのはら

 まだ、そう思っちゃうんだ。

「……今日、こっちゃん、誕生日……」

 一瞬、誰の声か分からなかった。

 あたしと、ちょっと似た話し方。でも違う。

 これは、あたしじゃなくて……。

「あれ、しげるが話し出すなんて珍しいねェ」

 のんびりみゆきちゃんが言う。今の声は、しげるくん?

「う、うん……」

「……おめでと」

 自然と、緊張がゆるんだ。

「しげるくんも、今日誕生日なの?おめでとう。あ、これは今たっくんが……」

「教えたんだ。おめでとう、しげるくん」

 その時たっくんもやって来て笑った。

「あれ、たっくんが笑うの初めて見たかも」

「な、何だよ」

「もしかして、あたしの前だけ笑わないの!?サイテー!!」

「どうしてそうなるの!?勝手すぎるだろ!」

 そんなあたし達を笑って見るみゆきちゃん。その隣で。

「……ありがと」 

 しげるくんが静かな声で、でもとても真剣な声で言った。


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