不器用な僕たち
大勢のファンの前であんなこと言うなんて。
呑気に笑っている涼ちゃんに、私はほんの少し腹が立ってしまって、キッと涼ちゃんを睨んだ。
「あんなこと言うなんて。ベルマリの人気、落ちるよ? 事務所の人、怒るよ?」
「あぁ、大丈夫。社長にも事前に許可取ったし」
「ファンが納得しないよ?」
「いやいや、『おめでとう』『頑張れ』の大声援を受けたけど?」
にこりと笑う涼ちゃんに、胸の奥が次第に熱くなってきて、とうとう涙が零れてしまった。
「……私が納得しないよ。あんな、冷たい別れ方して」
手で何度も拭っても、涙は次から次へと溢れ出す。
涼ちゃんは少し間を置いてから、私の顔を覗きこむようにして言った。
「千亜紀のことを考えていたつもりが、逆に傷つけてしまって……。ごめんな」