不器用な僕たち
そう言って、涼ちゃんは私と別れた本当の理由を詳しく話し始めた。
あの日、私が見た、来須ミクと涼ちゃんのスクープ記事。
本当は私との交際が記事になるはずだったなんて……。
まだ幼かった高校生の私。
涼ちゃんは、普通の別れ方じゃ私が納得しないって分かっていたんだ。
もしもあの時、涼ちゃんがすべてを話して別れを告げていたら、私はコッソリ付き合う方法を模索していたに違いない。
「俺はずっと、千亜紀だけだったから」
真相をすべて話し終えたあと、涼ちゃんは改めて私に言った。
「こういう仕事している俺だけど、ついてこれる?」
「……うん。準備万端」
「ツアーとかで、家を空けることが多いけど……」
「大丈夫。涼ちゃんはそれが仕事なんだから」
涼ちゃんの背後に見える部屋のドアの隙間。
そこから雅人が、にやけた顔で様子を窺っているのが見えた。