不器用な僕たち
雅人は私と目が合うと、ヤバイ! という顔をして、ドアをそっと閉めた。
「今回のツアーが終わったら、おじさんたちに挨拶に行くよ」
雅人が覗き見していたことなんて知る由もない涼ちゃんは、今後の予定について話し始めた。
いつもなら雅人の覗き見に激怒している私だけど、今はそんな気持ちにすらなれない。
「うん。私、事務所の社長さんとかにも挨拶した方がいいのかな」
「当たり前だよ。……あ、指輪も買わなきゃなぁ」
「あれっ、涼ちゃん。結婚会見するの?」
ずっと止まったままだった、未来の地図が少しずつ描き出される。
深夜の、夜空のした。
私と涼ちゃんは、それぞれの部屋の窓越しで同じ空を見上げながら、ゆっくりと未来に向かって歩き始めた。
――fin――

