不器用な僕たち

「……しかたないよ。何度も好きって言ってるのに、涼ちゃん全然相手にしてくれないしね」

「………」


久実ちゃんはそれ以上のことが言えず、黙り込んだ。

ベルマリのデビューで盛り上がるクラスメート。

そんな輪から外れた私と久実ちゃんの間には重苦しい空気が流れる。


「千亜紀!今日日直だろ?社会の授業で使う地図、取りに行くぞ!」

「……あ、うん」


取り囲む輪からなんとか脱出してきた雅人が、私の手を強引に引っ張った。


「久実ちゃん、ちょっと行ってくるね」

「うん」


雅人に引っ張られた手はあまりにも強引すぎて、私は身体をねじる様にして久実ちゃんの顔を見て言った。


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