不器用な僕たち
入院準備のために家に戻っていたお母さんが付き添いで病院に泊まってくれることになったけれど、やっぱり寂しかった。
一人ぼっちじゃないのに、寂しい。
涼ちゃんに会いたくて……。
「千亜紀…寝た?」
もう眠りについたとばかり思っていたお母さんが声をかける。
「ううん。眠れない」
「……そう。……あんたが事故に遭った日ね、涼ちゃんが来てくれたんだよ」
ふふふっと小さく笑いながらお母さんが言う。
「涼ちゃんが!?」
「そうよ。あんたの顔見て、すぐに戻って行ったけどね。さっき家に帰ったら涼ちゃんから留守伝入ってたよ」
「なんて?」
「今から新幹線に乗るところだって。着いたらすぐ病院に行きますって」