《完》17歳の医者 ~天才医者は助手に恋した~
 目の前にある一見普通に見えるドア。

 木製で、こげ茶で趣がある。

 これこそが、エクシリオンの部屋。

 すっと手を伸ばし、何もためらいもなく開ける。

 あとで、ノックするのを忘れたっと後悔したが。

 でも、エクシリオンの部屋に入ったのは初めてだ。


 真っ暗な部屋の中。

 一瞬ひるんでしまいそう。

 右左に首を振ってもエクシリオンはいない。

 
――なぁんだ、いないんだ。――

 ふぅっと、ため息をつく。

 ひゅうっと風が吹いてきた。

 カーテンとの間から少し、光が見える。

 髪みたいのが、ふわりっと舞っている。


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