*クリスマスのキセキ*
「ごめんね…」



 もう一度、あたしは頭を下げた。



「謝んなよ…諦めつかねぇけど……



諦めるしかねぇよな」



 まっすぐな、瑛斗のまなざし。



この表情が好きだった……。



「羽未があんな弱ぇ奴でも、一緒にいたいなら。


いて幸せなら…悔しいけど俺は手ぇ引くしかねぇよな」



 うつむきながら、悲しい目をして瑛斗は言った。



「じゃあな」



 瑛斗は足を引きずりながら、去っていく。



「ばいばい」



 あたしは、瑛斗の後ろ姿に手を振った。
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