響け、空に―
だんだんと、私と孝の思い出がよみがえってくる。
町が近づいてるからだろうか。
電車を降りて、駅を出ると、一台の車が停まっていた。
「高木‼」
車の横にいる人が、私にむかって手を振る。
「あっ、入江君‼」
私は入江君の元に駆け寄った。
「じゃあ行こうか。」
車のドアを開けてくれる。
私は車に乗り込み、シートベルトを締めた。
入江君も運転席に座り、シートベルトをしてから車を発進させる。
「すっかり有名人だな、高木。いや、若森さん?」
「もう、やめてよ‼」
入江君とは毎年この日に会っているので話しやすかった。
「やっぱり、孝?」
「うん、孝の名字をもらったの。
…早いよね。今日は孝の命日で、あれからもう四年だなんて…」
「だな…。
あっ、寒くない?ひざかけあるよ?」