執事と共に聖夜を。
「机の鍵が2つ、キャビネットにクローゼット……合計4つの鍵を探すのね」


しかし実際、鍵らしいものはどこにもなく恵理夜は途方に暮れた。


「もう、人が相手のほうがまだわかりやすいのに」


残念ながら恵理夜の勘は、モノにまで及ぶことはなかった。


恵理夜は、絨毯の上に寝転がった。

長い間放置されていたせいか埃っぽかったが、小さなころの思い出が、ほんの少し蘇った。


この部屋の床には、市松模様の絨毯がしかれ、モダンな空気を醸し出していた。


そして、向かい合った2つの壁いっぱいに広がる書棚。

ふと、奇妙な光景が目に入った。

目の前には、書棚だが、本でないものも入っていた。


「カセットね……」


親が好きだった洋楽ものばかりだ。

今はほとんど使われないカセットという媒体も微笑ましい。
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