執事と共に聖夜を。
「おや、お嬢様でもクリスマスを気にされるんですね」


春樹は、お茶を差し出しながら意外そうな顔をした。


「私でも、ってどういう意味かしら」

「いえ、深い意味は。ご一緒に過ごされたい方でも?」


家族である祖父やシラヤナギはクリスマスに関係なく忙しい。


「そういうわけじゃないけど……」

「歯切れの悪いお答えですね」

「もう、うるさいわよ」

「失礼いたしました」


完璧な慇懃さで頭を下げ、春樹は黙った。

その完璧さもなんとなく癪に触った。
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