執事と共に聖夜を。

――鍵探し2日目。


「全くわからないわ……」


恵理夜は、走り書きで駄目になった紙を丸める代わりにまた折り紙をしていた。

そして、作り終えた折り紙を投げ出しながら言った。


「もう、それで5つ目ですね……」


書斎机の上にはすでに走り書きだらけの紙で重ねられたクリスマスツリーが完成していた。

折り紙は、恵理夜の癖だ。

前回、走り書きをした紙で折り紙をしたことがきっかけで謎が解けた。

以来、考え事をして行き詰ったときは折り紙をするのが癖になったのだ。


――ラジオから“LastChristmas”が流れてくる。


頭が煮詰まり過ぎないように、春樹が付けてくれたものである。


「もう、クリスマス・イヴになっちゃったじゃない……」


恵理夜は頭を抑えながら呟いた。
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