執事と共に聖夜を。
「預かった品を、どうするつもりなんですか」

「いや、ですからシラヤナギ様にお届けを……」

「嘘」


恵理夜は、相手の嘘をはっきりと見抜いた。


「あわよくば着服、なんて考えてる人たちには渡せません」

「けどよ、ここはカシラの管理してる部屋でして……」

「確かに、ここは組長の長子の部屋です」

「そうでしょう、だから……」

「ですが、ここは私の両親の部屋です」


どこまでも通る声。

まっすぐに射抜くような目線。

その場にいる誰もが黙った。


「お引き取りください」
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