執事と共に聖夜を。
「……今は発売されていないおもちゃですね」


春樹がぽつりと呟く。


「え……」

「私がまだ動き回れるほど幼い頃は、まだ駄菓子屋にありました」

「駄菓子屋さんに」

「えぇ。ですが危険なものとして、いつの間にか排除されたものです」


恵理夜はすでにテレビゲームの中で殺し合いがあるのを知っている。


「こんなものよりリアルな死が、バーチャルの中であるもの」


ある程度の重厚感を持ち、撃てば振動するゲームの銃は、恵理夜が手にするプラスチックの銃より遥かにリアリティとスリルを与えてくれるだろう。

親も現実に怪我をさせるくらいなら、バーチャルの銃の方が安心なのだろう。


「そして、現実の痛みを理解出来なくなるのかしらね」


恵理夜は悲しそうに笑った。
< 69 / 93 >

この作品をシェア

pagetop