執事と共に聖夜を。
「実は、これを探すための宝探しだったのよ」

「これは……」

「父が持っていた物なの」


古いが、大切に使われていたのだろう。

綺麗に磨かれている。


「母からプレゼントしたの。大きくなったらくれるようにお願いするつもりだったの」


その前に、亡くなったのだ。


「どうして、これを……」

「だって、執事は腕時計よりも懐中時計でしょう」


と、恵理夜はウィンクした。


「それに、買うのは嫌だったのよ。私の力で手に入れたものをあげたかったの」


結局、春樹に頼っちゃったけどね――と、大袈裟に肩を竦めたが。
< 82 / 93 >

この作品をシェア

pagetop