新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
リュウが腕の時計に目をやった。
デュアルウォッチが二つの時を刻んでいる。
多分、この世界の時刻と、もと居た世界の時間。
「あのさ。今日はもう休んで、明日また話さない?」
彼がニコリと笑い、黙ってモスグリーン色をした、枕程の塊を手渡してくる。
「これは?」
「シュラフ。寝袋だよ。テントはこっち」
そう言って、彼はタープから続くテントへと入っていった。
外が透けて見えるメッシュとは違い、しっかりとした布で出来たテントは閉塞感を覚える。
そこで異性と2人きりという状況に戸惑う。
「どうした?」
私を気遣ってテントから顔を出したリュウが、立ち尽くしている私に向かって微笑みかけた。
「大丈夫。この中は安全だよ?」
まるで少年のように無邪気な瞳。
多分、自分が異性として恐れられているなんて、想像もしていないだろう。