新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
「フウカさん……」
彼の苦悩するような声と同時に抱きしめられた。
それだけで全身に安心感が広がる。
───ああ、この胸にずっと寄り添っていたい。
だけど……───
私はリュウの気持ちが自分から離れていくのを感じていた。
去りゆく恋の予感に、じわっと目頭が熱くなる。
暴力に怯えてこぼす涙は凍りつくように冷たい。
でも失恋することが怖くて溢れる涙は、ほとばしる血液と同じ温度。
私はそんなことさえ忘れていた。
「違うんだフウカさん。このまま聞いて」
そう言ったリュウの腕が震えていることに気づいた。
彼が何を恐れているのか、何が違うのか、その理由がわからないまま言葉の続きを待つ。
「君の先輩だった坂本深は……俺の友だちで同僚なんだ」
「え?」
「ヤツはまだ、君のことを気にかけてる。いや、たぶん、想ってる」
「う……そ……」
「本当だ。あのサイトも君を助けるために、アイツが作ったんだ」
「じゃあ、管理人ニスって……」
「そう。シンだ」
───ほんとに?───
すぐには信じられなかった。
「君を送り出す座標が狂ってしまったらしい。本当はこのテントに転送して、俺に拾わせるつもりだったんだ」
彼は吐き出すように言って私から離れた。
「もうすぐシンから君に連絡が入る」
そう言ってリュウは私にノートPCを押し付け、テントに入って行った。
その顔は心なしか、青く翳っているようだった。