新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
テントの中にいるリュウのことを気にしながら、私はマニュアルの手順どおりにパソコンの音声と映像をつないだ。
すると、すぐにモニターの中に懐かしい顔が映った。
「先輩……」
「フウカ。大人になったね」
先輩はそう言って優しく目を細めた。
───深先輩、私のこと忘れずにいてくれたんだ───
泣くつもりなどなかったのに、涙が溢れた。
あの頃と変わらない先輩の思慮深そうな瞳に、私はどう映っているんだろう……。
私たちはしばらく無言で見つめ合った。
が、やがて先輩の表情が固く引き締まった。
「色々話したいけど、通話できる時間が限られてる。だから、これから俺が言うことをよく聞いてくれ」
その真剣な声に緊張する。
「なに?」
「君を苦しめ続けたあの男は今、血眼になって君を探してる」
───嘘……───
一瞬にして全身の血が凍った気がした。
「君の使っていたPCの最後の交信記録から、あのサイトにアクセスしてきた」
「ほんと……なの?」
夫の顔を思い出しただけで、膝が震え始めた。