ストロベリー革命
「ええっ!? 無理だよ!」

「無理だよじゃない!! あたしはやるのっ」

 母親である理事長を直は一番よくわかっている。

 だから無理だと言いきれるのだ。

 しかし天花は直の話に耳も傾けず、行動あるのみ! と押し退ける。

「ホントに無理だからっ! あの人俺達の話なんか絶対聞いてくれないもん」

「聞いてくれなくても言わないと何も始まらないでしょ! ……あたしだって本当は辞めたくないもん。直と同じだよーっだ」

 久しぶりに見る天花の笑顔に、直のハートはズッキューンと貫かれた。

“好きになっちゃダメ”と自分に言い聞かせても、心はなかなか言う事を聞いてくれない。

 この恋の病は重症である。

「さあ、今から行っくぞー!!」

 天花は直の手を引いた。

「どこへ行くのかしら小娘達?」

 気合い十分で理事長室へ向かおうとした矢先、二人の真正面には何故か理事長の姿がある。

「ひぃっ!!」

 母親が見えた瞬間、直は天花の後ろに隠れた。

< 106 / 133 >

この作品をシェア

pagetop