ストロベリー革命
「お母様に対して“ひぃっ!!”はないでしょう、このバカ息子っ!!」

 理事長は腰に手を当て、ため息をつく。

「ちょうどよかった理事長! あたしやっぱりこの学園にいたいです。そんでもって、直を追い出したりしないでくださいっ!!」

 頭を深々と下げる天花。それを見た理事長は更にため息をついた。

「あなたの意見はわかったわ。直はどうなの?」

「お、俺は……ここにいたい。初めて出来た居場所だから」

 小学生の時、学校に直の居場所はなかった。

 男のくせに可愛い格好をするのが大好きな直は、クラスメイトにいろいろ言われたり、嫌がらせをされたりと散々な学校生活を送っていた。

 この学園では、性別こそ偽っているものの、皆が自分を必要としてくれている。

 罪悪感はいつもあるけど、それ以上に嬉しかったのだ。

 直の素直な意見を聞いた理事長は、

「はぁー……、私も甘いわね。そんなに言うんだったらここにいなさい。何か起こっても知らないわよ」

 本日三度目のため息をついて戻って行った。

< 107 / 133 >

この作品をシェア

pagetop