ストロベリー革命
 思わず寝ると言ったが、こんな時間から寝れるはずもなく今に至る。

 そして枕元から漂ってくる甘い匂いに気がついた。

「何これ……? もしかしてさっき天花が置いて行ったとか?」

 その可能性は十分すぎるほどあり得る。

 ベッドに入る前はこんな物置いてなかったし、天花が焼いてしよー、とかなんとか言ってたから。

 直は天花が置いて行ったスイートポテトを一口口に運んだ。

「…………美味しい」

 か細く、聞こえないような声で、直は一言感想をもらした。

 甘いものは好きだし、さつまいもだって好きだ。

 好きなものを食べると普通は笑顔になるが、今の直は違った。

(俺、お昼に酷い事言ったのかな……。食べたのはただの林檎だし、林檎の味しかしないけど……、美味しいって言えばよかったな)

 自分はひねくれてこんな事しか言えなかったのに、それでも天花はまた料理をくれた。

 なんだか胸がしめつけられる。

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