ストロベリー革命
 一人取り残された伸一は、

「……素敵だ! なんて可憐なんだ直っ!!」

 直への愛情がますます大きくなっていた。



「ねぇー、あの人ホントに直のフィアンセなのー?」

「あの変態が勝手に言ってるだけっ!! 何フィアンセって!? 気持ち悪っ」

「自意識過剰な変態さんは、直が男の子だって知らないんだねー」

 天花は直の背中で人事のようにクスクス笑う。

「……そんなに痛かったの?」

「えー?」

「なっ、泣いてたから」

「全然痛くないよー。あたし毎日転けてたからね。泣いてたのはねー、目に砂が入ったからー」

 なんてマヌケな理由だろう。

 直は後悔した。

 天花が泣いていたから伸一に手を出して、バレる寸前の事をしてしまったというのに、理由は目に砂が入ったからだと言う。

 しかし自分は今、天花を背負っている。

「あたし軽いー?」

 そんな直の心情を知らず、この田舎娘は背中から楽しそうに話しかけてくる。

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