出席番号1番
【利用2】(紗良視線)
「紗良、なんか機嫌悪い?」
私の顔を覗き込むように瑛斗は言う。
「・・・・・そんなことないけど」
「いや、めっちゃそんなことあるけど」
「・・・・・・」
「・・・・・?」
瑛斗の顔を見るたびに、嫌悪感に苛まれる。
「瑛斗」
瑛斗に、じゃなくて私自身に。
「ん?」
「ごめん」
「・・・・・・・え?」
「・・・・・・。」
「な、何が?」
「なんとなく」
先生に頼まれたこと。
『教育委員会の視察がくるから、その日だけでいいから体力馬鹿たちをどうにかしてほしい。』
教員に自分の印象を上げておくこと。
それがどれほどプラスの意味を持つなんて言わずと知れたこと。
誘惑に、負けた。
私なら、そんなことしなくても教師たちの印象は良いはずだけど・・・。
それでも、やるかやらないか。
どちらに利益があるか考えてしまった。
悪いことをしたわけではない。
でも、裏に隠された策略があったこと。
気分が悪い。
それを瑛斗に向けたこと。
「・・・・・最悪」
「紗良」
「・・・・なに?」
「何か知らねえけど、紗良は最悪じゃねえよ?」
「・・・・・」
「俺の最高の親友!俺、紗良といるとすっげー楽しい!紗良のためなら多分たいていこのことはしてみせるから!何にそんな落ちてんのか知らねえけど俺は馬鹿だから、馬鹿を見て少しは気を紛らせ!な!」
「・・・・・・・瑛斗」
「ん?何だ、何かしてほしいことがー・・」
「ありがとう」
本当、瑛斗は最高の・・・・
「紗良はさー、いつも堂々と偉そうにしてねえと紗良じゃねえよな!」
「・・・・。」
馬鹿。