ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
「本当に、すみませんでした……」
消毒薬入りの洗面器に両手を浸しながら、パーサーに謝った。
手が、ぴりぴりする。
「もう、いい。
気持ちはよく解るから。
私も昔はよく、岩谷と同じことをやった」
「ええっ!?」
驚いて、後ろを振り返った。
小さなキッチンの後ろ、私が船酔いした時に横になったソファに腰かけたパーサーの顔は、もう怒っていなかった。
「ここで吐いたら、お客様が可哀想だ!
そう思ったら、つい手が出た。
10年以上前だから、病気に対する意識も今ほど神経質じゃなかった。
昔だったら、よくやったって先輩から褒められたぞ。
そんな事、なかなかできるもんじゃないだろ?」