ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
ストッキングを穿いてから、パーサーと二人で船内の点検をする。
1日数回巡視して、異常がないか、汚れているところはないかチェックするのも私達の役目。
喫煙室の灰皿を綺麗にして、ロッカーに異常がないか確かめて、デッキで危険なことが行われていないか見回る。
まだまだ肌寒い風を受けながら、デッキの上を歩く。
気温が低いせいか、お客様は外にはほとんどいない。
黙々と歩くパーサーの後ろを追いかけながら、仕事の手順を覚えようと努力した。
「寒いだろう。ストッキングなしだったら、もっと寒かったぞ」
「そうですね。ありがとうございました」
「そろそろ巡視は終わりだが……ひとつだけ忠告。
ああいうお客様は、用心した方がいい。
声をかけられたり、用事をいいつけられたりした時は、なるべく私を呼びなさい。
新人だからわからないふりをして、とにかく1人で対応しないことだ」
「はい!」
「ここは、ある意味隔離された場所だからな……」
水平線を眺めながら、パーサーは厳しい表情をした。