ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
いつから見られていたんだろう?
カウンター業務を終え、事務室で明日のシフトの確認をしてから、船内の巡回を兼ねてAデッキへ。
12時を過ぎた船内は、閑散としていた。
どこかでばったりと会ったなら、気づくはず。
「さっき、カウンターで『お先に失礼します』って言ってたでしょ?
勤務時間が終わったんだよね、岩谷さん」
確かに、今日の深夜シフトだった石田さんに挨拶して、事務室へ戻った。
……そんな所まで見られていたとは。
「今日の勤務時間は終わりましたが、明日はまた早朝から勤務です。
緊急のご用件以外は、明日承りますので……。
工藤様、おやすみなさいませ」
また、営業スマイルでさっさと逃げようと思った。
通用口のドアを開けて、そっちへ行けば何とかなるはず。
なのに。
ドアノブに伸ばした腕を、工藤さんが強引に掴んできた。
「話はまだ、終わってないんだけど」