ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
「わかりました。
でも、工藤様のお部屋には行けません」
「どうして?
俺の部屋が一番落ち着けるんじゃないの、この船ではさ」
「せっかく『ジャパン郵船』に就職できたというのに、服務規定を破ってクビになりたくありません。
客室前の通路には、監視カメラがついています。
もちろん『ロイヤルステート』のお部屋の前も監視されているんです」
監視カメラ、という言葉を出したら、一瞬、工藤さんの顔色が変わった。
「ここも監視されてるのか?」
やっぱり、気になってる。
一応、社長と言う肩書のある人だから、不祥事は困るでしょう?
うまくいくかどうかわからないけれど、やってみよう。
「詳しいカメラの位置はわかりませんが、この階も監視されているはずです。
実は船内で唯一、監視カメラがない場所があるのですが、そこでなら二人でゆっくりDVDを見ることも可能です」
ひきつっていないことを願いつつ、必死にスマイル。
すると工藤さんもまた、背筋がぞわぞわするような笑みを浮かべてきた。