ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

そう言った後、コウさんが私の顔色をうかがうようなそぶりを見せた。

殺した、という言葉にはっとしたけれど、それは違うはず。

でも、コウさんが今でもそれをずっとひきずっているとしたら。


「聞かせて下さい、どうしてそうなったのか」


私には、話を聞くことしかできないから。



「俺の名前、穏やかな航海を願って、父がつけたんだそうだ」


航平さん、という名前は、海の男にぴったりだと思っていけれど、そういうことだったんだ。


「父は小さな漁船の船長だった。

乗組員はたった7人しかいないけど、腕のいい漁師だったよ。

一度漁に出たら、しばらく会えない。

ひとり息子の俺を、父も母もとても大事にしてくれたと思う」


想像してみる。

小さなコウさんを。

海に出るお父さんを待っているコウさん。

大好きなお父さんが帰ってきたら、きっと玄関で飛びついたんだろうな。

それがどうして……?

< 230 / 332 >

この作品をシェア

pagetop