ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
そう言った後、コウさんが私の顔色をうかがうようなそぶりを見せた。
殺した、という言葉にはっとしたけれど、それは違うはず。
でも、コウさんが今でもそれをずっとひきずっているとしたら。
「聞かせて下さい、どうしてそうなったのか」
私には、話を聞くことしかできないから。
「俺の名前、穏やかな航海を願って、父がつけたんだそうだ」
航平さん、という名前は、海の男にぴったりだと思っていけれど、そういうことだったんだ。
「父は小さな漁船の船長だった。
乗組員はたった7人しかいないけど、腕のいい漁師だったよ。
一度漁に出たら、しばらく会えない。
ひとり息子の俺を、父も母もとても大事にしてくれたと思う」
想像してみる。
小さなコウさんを。
海に出るお父さんを待っているコウさん。
大好きなお父さんが帰ってきたら、きっと玄関で飛びついたんだろうな。
それがどうして……?