ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
「小学5年の時、操業中の父の船が、ロシアの国境警備隊にだ捕された。
連絡が来た時、まさかと思ったけれど、父はそれから半年近く拘留されていたんだ。
それまでの生活が一変したよ」
だ捕?
北海道にいた時は、たまにニュースで見た。
北方領土近くで操業している船が、だ捕されている映像を。
でも、それで亡くなった人は、ごくわずかだったはず。
相槌を打つのも忘れて、私はコウさんの話の続きを待った。
「戻ってくるまでの間、悲惨だったよ。
学校では父のことをさんざん悪く言われた。
これは仕方がないんだ。
どこかの漁船がだ捕されたら、他の船の操業にも影響が出る。
ほとんどが漁師や、漁業関係者が暮らす街だったからさ。
母の仕事も、激減した。
俺が知らないところで、母も相当苦労していたと思う」