ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

小学校5年生のコウさん。

おそらく、自分の置かれている状況がだいたい解る年頃。


お父さんの船のニュースは、きっと何度も放送されただろう。

それを見たコウさんの気持ちを考えるだけで、胸が締め付けられる。


私は、黙って話の続きを待った。



「俺と母は、父の帰りをずっと待っていた。

戻って来なかったらどうしよう、今頃どんな生活をしているんだろう……。

母と2人で毎日、父の無事を祈ってた。


……結局父は、他の船員たちよりもかなり遅れて帰国したよ。

その時、もう俺は6年生になっていた。

身ひとつで釈放された父は、痩せてはいたけれど元気そうに見えた。


……本当は、身も心もボロボロだったんだろうっていうのは、後になって知ったことだ。

父と母を追い詰めたのは、それまで何の苦労もなく育ってきた、我儘な俺だった。

俺の言葉が引き金になって、幸せだった家庭がこっぱみじんに吹っ飛んだよ」



そこまで話して、コウさんは目を伏せた。




< 232 / 332 >

この作品をシェア

pagetop