ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
小学校5年生のコウさん。
おそらく、自分の置かれている状況がだいたい解る年頃。
お父さんの船のニュースは、きっと何度も放送されただろう。
それを見たコウさんの気持ちを考えるだけで、胸が締め付けられる。
私は、黙って話の続きを待った。
「俺と母は、父の帰りをずっと待っていた。
戻って来なかったらどうしよう、今頃どんな生活をしているんだろう……。
母と2人で毎日、父の無事を祈ってた。
……結局父は、他の船員たちよりもかなり遅れて帰国したよ。
その時、もう俺は6年生になっていた。
身ひとつで釈放された父は、痩せてはいたけれど元気そうに見えた。
……本当は、身も心もボロボロだったんだろうっていうのは、後になって知ったことだ。
父と母を追い詰めたのは、それまで何の苦労もなく育ってきた、我儘な俺だった。
俺の言葉が引き金になって、幸せだった家庭がこっぱみじんに吹っ飛んだよ」
そこまで話して、コウさんは目を伏せた。