ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
「帰ってきた日の夜、やっと家族そろった夕食で、父がにこにこしながらこんな話をしてくれたんだ。
『ロシアの生活、結構大変だったぞ。
でも、日本人の仲間同士で文句言ったらロシア人にバレて、もっときついことをされるんだ。
日本語がよく解らなくても、文句言ってるのは通じるみたいだぞ。
だから、みんなで笑いながら楽しそうに文句を言い合ってたっけなぁ』
……それを聞いて、無性に腹が立った。
父の強がりと、家族への想いから出た言葉だったって、今なら解る。
でも、当時の俺はそんな事全く理解できない、世間知らずで自分勝手な息子だった。
『父さんが笑ってる間、こっちで母さんと俺はずっと酷い目に遭ってたんだ!
俺、学校行くのがものすごく嫌だったよ。
母さんもみんなから色々言われて、ピアノの生徒だってかなり辞めた。
父さんさえだ捕されなかったら、こんなことにはならなかったのに!』
半年間の辛かったことを、父にぶつけて泣いたよ。
父はただ、黙ってそれを聞いていた。
そして翌日、俺が学校へ行ってる間に、母と二人でいなくなったんだ……」