ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
懐かしそうに、巾着袋を見つめながら、コウさんの話は続く。
「だ捕された時の事を少し話してくれたよ。
『規定を守っていたはずだったのに、有無を言わさず停船命令が出されて、国境警備隊も乗り込んできた。
だ捕されたら、真っ先に船長が拘束されるだろうからと、自分はこれを取った。
船が接収される前に、少しでも日本へ持ち帰って、船長に渡したかったから……』って言ってた」
青い巾着袋を、手渡してくれた。
「父が乗っていた、船の一部だ。
潮水に浸かるから、船はどうしてもすぐに錆びてしまう。
ノムさんがとっさに錆びたところ周辺をむしり取って、ポケットへしまってくれた。
それが、この袋の中身だったんだ」
開けるように促されたので、そっと開いて、中を覗いてみた。
茶色く錆ついた、小さな鉄のかけらが2つ、入っていた。