ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
いつの間にか、泣いている私を慰めるように、コウさんの大きな手が背中を撫でている。
不快や緊張を感じない、安心できるあたたかさ。
この家に来てから、ずっと頑なになっていた私の心をほぐしたのは、やっぱりコウさんの本当の姿、なのかも知れない。
信頼しても大丈夫、という確信。
コウさんが信頼して話してくれた、という安堵感。
そのまま、コウさんの手に甘えた。
「カッコ悪いし、誰にも見られたくないけれど、児童養護施設はひとりきりになれる空間ってトイレしかなかった。
当時は3歳から高3までの子どもが、8人ずつ大きな部屋で生活していた。
小6の俺は、上から3番目だったんだ。
俺が泣いたら、下がみんな泣くと思ってさ、必死に我慢したよ。
でも、どうしても我慢できなくて、頭から布団を被って、こっそり泣くんだ。
そしたら、それに気づいた俺より上の2人が、慰めてくれる。
『みんな色々あって、ここに来てる。
辛いのはお前だけじゃない』ってね。
子どもなりに、精一杯周りに気を遣いながら生活していた」