ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

いつの間にか、泣いている私を慰めるように、コウさんの大きな手が背中を撫でている。

不快や緊張を感じない、安心できるあたたかさ。


この家に来てから、ずっと頑なになっていた私の心をほぐしたのは、やっぱりコウさんの本当の姿、なのかも知れない。

信頼しても大丈夫、という確信。

コウさんが信頼して話してくれた、という安堵感。


そのまま、コウさんの手に甘えた。


「カッコ悪いし、誰にも見られたくないけれど、児童養護施設はひとりきりになれる空間ってトイレしかなかった。

当時は3歳から高3までの子どもが、8人ずつ大きな部屋で生活していた。

小6の俺は、上から3番目だったんだ。

俺が泣いたら、下がみんな泣くと思ってさ、必死に我慢したよ。

でも、どうしても我慢できなくて、頭から布団を被って、こっそり泣くんだ。

そしたら、それに気づいた俺より上の2人が、慰めてくれる。

『みんな色々あって、ここに来てる。

辛いのはお前だけじゃない』ってね。

子どもなりに、精一杯周りに気を遣いながら生活していた」

< 242 / 332 >

この作品をシェア

pagetop