ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
 
数えきれないキスと抱擁。


自分でも知らなかった、女としての私を引き出され、翻弄され、追い詰められる。


乱れる姿を見られるのが恥ずかしいとか、そんな余裕はもう、どこにもなかった。


ただ、目の前の最愛の人から与えられるものを享受して、彼に溺れるだけ。


何度も快楽を教えられ、身も心も溶けてしまいそうになったその時。


「やっと……俺のものになる。

でも、俺も裕香のものだから」


はじめて『裕香』って呼んでくれたことに気を取られているうちに。


私の身体は、コウさんで満たされた。

足りなかったかけらをひとつ、ぴったりと重ねたように……。


痛みと、熱と、覚えたばかりの快楽に身をよじる。


私の首筋に、滴が落ちてきた。

きつく瞑っていた眼を開けると、額に汗を浮かべたコウさんが見える。


それまでとは違う、コウさんの表情。


切ないような、何かを耐えているような……でも、熱っぽい視線をそのままぶつけてくる。

その眼に射抜かれながら、私は意識を手放した。


最後に耳に残った


「愛してる、裕香」


という言葉にも満たされながら。

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