少数派の宴

*
「紹介が遅れたね。こっちのが<煙草屋>、あたしの客さ」
3人が庵を囲んで座るなり、老婆が言った。

「あんたは俺の客でもある」
<煙草屋>がつけたしながら煙管に草を詰め、老婆に渡す。
「どこの世に客をあんたなんて呼ぶ商人がいるんだい。――――で、こっちのが<トカゲ>」
老婆は深く煙管を吸った。
「会いたかったんだろ?」
そして紫煙と一緒に、<煙草屋>に問いかける。

「……『トカゲ』か。あれ位で、ねぇ」
「どういう意味だ」
<煙草屋>の呟きに、<トカゲ>は睨み付ける。
彼の両手はもう完全に再生しており、当初と見分けがつかない程だ。
「手首以外を切り落とした事は?」
<トカゲ>は眉をしかめた。
そんなのは考えた事も無い。

「言っただろう、早さは並みだと。しかも再生は手だけだときた」

<煙草屋>はPCを<トカゲ>に向けた。
そこには、中年の男が車を運転している様子が映し出されている。
「何だよ」

<トカゲ>が<煙草屋>に目線を上げた時、画面に変化が訪れた。


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