「のーたいとる。」*アンパンマン恋愛バージョン
何日も過ぎ、次第に二人は環境に適応していったのだった。
同じベッドで眠る事は無いにしても、二人の時間は大切に。
オレンジ色の彼女は未だに自分の置かれている状況が把握できておらず、夢を見ているようだと、そう思ってしまっていた。しかし、夢ではないことを実感する。
白いヒーローの声がする度にその実感が湧くのだった。
「どきんちゃん、ごはんですよ」
「はぁい、しょくぱんまん様っ!」
家族、と言っても良かった。
カレー臭いヒーローはいつまでたっても帰って来なかったが、それでもそのうちに話す事があるだろう。
それに丸い顔のヒーローはにこにこと気を配ってくれる。
今までは敵対していたのに、それが嘘のようだ。これがヒーローの器というものなのかもしれない。
今夜が夢の終わりだとういうことも知らずに、オレンジ色の彼女は焼きたてのパンを頬張(ほおば)るのだった。