いちごいちえ




2人で軽くシャワーを浴び(軽くなんて穏やかなシャワータイムでは決してなかった事は言うまでもないけど)ようやく衣服を身に付ける。



初めて2人で迎えた、結ばれた朝。


時折思い出しては、1人赤くなる。


夢だったんじゃないかと思えても、下腹部に残る痛みと、体中に散る赤い印が現実と知らしめてくれた。



「ねえ…るぅ?」



「…ん?」



「そんなに…くっついてなくても……」



「……気にするな」




こうして私が化粧をする間も、瑠衣斗が後ろから私を離さないよう、腹部に腕を回し、ぎゅっとくっついているせいで化粧が捗らない。



瑠衣斗とこうなるまで、実は少しだけ不安があった。




男の人って、女の子が自分の物になっちゃうと、急に冷たくなっちゃう…とか。

そんな話、昔からよく耳にしていたから。



だから、少しだけ不安だったんだ……けど。



「気にする…ってゆーか、テレビでも観てた方が…」



「なんだよ。もも冷たくなったな。急に」



「え!?冷たくなったって言う次元じゃないでしょう!?」




それどころか、瑠衣斗が余計離してくれなくなってしまった。


しまいには、こんな事を言われる始末。



嬉しいんだけど、やっぱりまだ恥ずかしい…。


この手に触れられていたと思うと、頭の中が昨晩の事でいっぱいになっちゃうよ。



「やっと…やーっと俺のモノになったのに。切ない」



「ふふ。私は逃げたりしないよ」



「…当たり前だ」




瑠衣斗がこれ以上拗ねてしまわないように、私は手早く化粧を済ませたのだった。
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