いちごいちえ
「雨、止まないね」
「異常気象だな。でも、昼から晴れるみたいだぞ」
「昼から…?そっか、シーツとか洗いたかったんだけどな」
化粧ポーチにチークを戻しながら、何の気なしにそう言った。
るぅの家に居させてもらってるんだし、せめて洗濯ぐらいしたかったんだけどな。
そんな事を考えていたら、突然耳元に柔らかい感触が押し当てられる。
思わずピクリと姿勢を正すと、なぞられるように唇が私の耳元を刺激する。
「いいよ。どうせまた汚すから」
「〜〜〜っ!!もおっ、るぅ!!」
今度こそ顔から火が出せるほど、私は真っ赤になっているに違いない。
可笑しそうにクスクスと笑う瑠衣斗を後目に、私は恥ずかしさに顔を両手で覆った。
るぅが更にパワーアップしてる。
私が太刀打ちできる訳ないよっ。
「ほら、準備できたら行くぞ。奴らがうるさい」
「……うん」
ようやく解放されるが、私にはダメージが大きすぎて、まともに瑠衣斗の顔が見れない。
私の鞄を持って立ち上がった瑠衣斗に、熱い顔を隠すように後に続いた。
今でこんなんじゃ、みんなと会ったら私どうなっちゃうんだろう。
あ〜…きっと、1人で気まずくなってたりするのかな。
そんな事を考えた瞬間、お母さんが居たら…お父さんが居たら、今の私は、どんな風だったのかな…なんて考え、すぐに打ち消した。
