ため息に、哀
春休みに入った次の日、俺は学校の会議室にいた。
正確には、俺たちは、だけど。
なぜか二ヶ月以上前からこの日だけは予定を空けておけと言われていて、その理由を知ったのはつい先日だ。
『亜美の誕生日、バスケ部全員で祝うからね!』
ひとたび怒れば泣く子も黙る般若顔の女バスのキャプテン柏木先輩が、そう言ったんだ。
俺たちの誰もが、もちろんそれに賛成した。
別に柏木先輩が怖いからじゃなくて ―いや、それも理由といえば理由だけど― 高橋先輩への感謝は誰もが感じてるから。
途中で転校してきて、確かに一緒に過ごした時間は短いけど、その人柄とマネージャーとしての仕事ぶりは俺らの信頼と尊敬をすぐに集めた。
部員の先輩たちとはやっぱり違うから、接し方に戸惑うこともあるけど、感謝を伝えるにはもってこいだと思ったんだ。