ため息に、哀
「ゆるせないいいぃぃぃあの茶髪男! 天使みたいな亜美ちゃん先輩の女神のような優しい心につけこんで、無理矢理一緒にいさせてるに決まってるぅぅぅ!」
「いや、茶髪って、須賀先輩の髪は地毛・・・・」
「茶髪の名前は出さないでくださいっ!」
とうとう俺の学ランの胸元を握りしめて、つかみかかってきた。
須賀先輩のことなんてついに“茶髪”って呼んでるし。
しかも首締まってきた。
誰か助けて・・・・・。
「なにやってんの、長谷川さん」
徐々に酸素を奪われていた俺の耳に、救世主の声が聞こえた。
それはもちろん薄だった。
「スズキくんっ! 亜美ちゃん先輩の一大事ですっ」
俺の制服からパッと手を離して、その人の意識がやっと逸れてくれた。
ありがたい。
「悪いけど俺、スズキじゃなくてススキだから」
しかも薄は素晴らしいことに、ペースを乱されずに話をしている。