楽園の炎
「これは、朱夏姫様。お久しぶりにございます。相変わらず、お元気そうでなによりです」

応接室のようなところに入ると、竜がぺこりと頭を下げて挨拶を述べた。

「お久しぶりです。アルファルドにも寄ってきたんですってね」

朱夏も軽く頭を下げ、竜が皆に披露していた商品を見た。
さすが、コアトルの宮殿で見たときよりも、さらに沢山の品物が、所狭しと並べられている。

「朱夏! 見て見て! これ、竜がお祝いにくれたの」

ナスル姫が、肩にかけた布を広げてみせる。
ショールのようにも見えるが、結構丈夫そうな布だ。

「これ、なかなか良いのよ。ショールとしても使えるし、こうやったらね、赤ちゃんの抱っこ紐になるの。便利でしょ?」

「赤ちゃん・・・・・・」

ナスル姫には、はっきりと憂杏との暮らしのビジョンができているようだ。
がらっと変わるほうが、返って先のことまで考えられるものなのだろうか。

「朱夏姫様、ごきげんよう」

ぼんやりしていた朱夏に、不意に柔らかい声がかけられた。
振り向くと、皇后が立っている。
慌てて朱夏は、思わずその場に跪いた。

「こっ皇后様。ご機嫌麗しゅう。あのっお見舞いの品の数々、ありがとうございました」

「よろしいのよ。・・・・・・酷い目に遭いましたねぇ」

優しく言い、皇后は朱夏の手を取って立たせると、商品のほうへ促した。
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